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  ミカヅキモに学ぶ環境 
 

ミカヅキモに学ぶ環境   

戦争経済と環境破壊
 日本の景気が依然として悪いのは、日本がバブルで好景気だった頃、不況だったアメリカを救う為に、10年間に500兆円を内需で使うなんてとんでもない約束をし、それが大多数の国民の為ではなく、政治家・官僚・大会社の為に使われて来たのが原因ではないだろうか。この間、日本中の美しい山・川・海は不必要な大土木工事で破壊され、大橋梁、大干拓地、無目的ダム、河口堰などが多数作られた。その結果、農業、漁業、林業などが壊滅的打撃を受けた。国民がどれ程勤勉でも、税収50兆円規模の国が、国債を乱発して更に毎年50兆円も無駄使いし、景気回復策と称して更に大借金を重ねれば、鉄砲の弾同様、何でも使い捨ての戦争経済である。これだけ財政不安、雇用不安、教育・福祉予算の削減、消費税値上げなどで先の見通しが立たなければ、国民は老後の不安におびえ、消費も落ち込む。大学関係でも、教育予算や研究費を削減し、基礎研究を衰退させている。基礎研究の衰退は、新たな産業を育てる原動力を破壊するに等しい。研究費を充実させて欲しい、と私は切に思う。
 日本長期信用銀行の場合も深刻で、負債額4兆円を公的資金で賄い、それを米国の投資会社リップルウッド・ホールディングスに、1兆円近い持参金を付け、100億円足らずで売却したそうだ。日本は、戦争経済の本家、アメリカの為に働き、アメリカの為に税金を使う植民地のようだ。アメリカの植民地である現状から脱却しない限り、日本経済の根本的再建は不可能だろう。しかし、アメリカの植民地から脱するのはとても難しい。なぜなら、日本の政治・経済・学問・マスコミ等々、各分野の指導者の多くは、アメリカに留学したり長期に滞在してアメリカにかぶれてしまい、アメリカの為の学問・経済・文化をたっぷり吸収し、アメリカのやり方が一番だと洗脳されてしまっているからである。結局、国民全体がアメリカにかぶれてしまい、「日本は、天皇を中心とした神の国」ならぬ、「日本は、アメリカを中心とした奴隷の国」なったのではないだろうか。
  
水質汚染とミカヅキモ
 バブル期の頃には、ゴルフ場が相次いで建設された。私の住む小さな小杉町でも新規に2つのゴルフ場が造成され、過疎の利賀村にまで作られようとした。当時、富山市内のKゴルフ場の会員権は五千万円もしたが、2000年5月には850万円と言う(更に、2002年4月には470-480万円、高岡市内のTゴルフ場は2000万円だったのが、2002年4月には180万円にも下がってしまった)。
 当時、私は環境を破壊するゴルフ場建設に反対し、農薬浸けのゴルフ場の水質を改善する為に、ミカヅキモを検定生物として使う事を考えた。
ミカヅキモは1年中湧き水のある沼とか川の様な綺麗な水質環境に住んでいる。水中に環境汚染物質がなければ、普通は1個の細胞が1日に1回分裂し、2、4、8個と倍々に増える。また、ミカヅキモにも我々同様男女の別があり、成熟して年頃となると恋をする。そこで、雌雄の細胞を一緒にすれば、一方の性のミカヅキモからまずフェロモンを出し、雌雄の細胞が相寄り、人間の卵や精子に相当する配偶子を作り、続いて人間の受精卵に相当する球形の美しい接合子を作る。ところが、水の中にイタイイタイ病で有名なカドミウムや水俣病をおこした水銀の様な重金属、又は農薬などの環境汚染物質があると、人間に悪影響が出始めるのと似た様な低い濃度で、ミカヅキモは数日中に奇形の細胞や接合子を作る。従って、ミカヅキモは人間の住む水質環境の良し悪しの判断には大変優れた検定生物である事が分かった。 
 そこで、富山市内の呉羽カントリークラブの協力を得て、芝生の病気の最もよく発生する梅雨の季節に、ゴルフ場上流の水、ゴルフ場内の池、更にゴルフ場の排水を採り、ミカヅキモでテストした。すると、ゴルフ場上流の水では、ミカヅキモは正常な接合子を作ったが、ゴルフ場内の池や排水では、四〜八倍に希釈しても奇形の細胞や接合子が出来た。
呉羽カントリークラブでは、他のゴルフ場同様、病気の有無にかかわらず、防除暦と言う作業予定表に従ってカビ病に弱いベントシバやヒメコウライシバ、またカビ病に強いノシバなど数種類の性質の異なった芝生に、年中次々と一律に同じ農薬を過剰にまいていた。人間に喩えれば、頑健な人にも冬には大量の風邪薬を飲ませ、春には腹薬、夏には男ばかりか女にまでインキン・タムシの薬を塗りたくる様なものであった。そこで、ゴルフ場の人に、恐らく農薬が異常な接合子形成の原因で、人間への影響も懸念される事を説明し、農薬の使用量を減らすよう依頼した。
 幸い、呉羽カントリークラブの経営者、特に支配人の加藤眞樹氏は謙虚で環境改善に意欲的な方で、ミカヅキモの意見に耳を傾け、従来の方法を改められた。つまり、それ以後は日常的に芝生をよく観察し、病気が発生した時にその場所にだけ弱い農薬を使う様に改善した。その結果、翌年からは、ゴルフ場下流の排水で培養しても、異常な接合子が形成されなくなった。少なくとも四〜八倍水質が改善された事になる。
 また、愛知県岡崎市民の依頼で、岡崎市の浄水場上流にあるNゴルフ場の排水を検査した事がある。ここは、富山の呉羽カントリークラブより遥かに水質が悪かった。その上、市民が排水を飲んでいるのだから富山の場合より事態は遥かに深刻であった。我々がミカヅキモテストをして、報告と提言をしたところ、市議会でも問題になった。それが元で、ゴルフ場ではかなり改善に努めたようだ。数年後、再調査をしたら、殆ど毒性が無くなる迄に改善されていた。
 また、富山市呉羽地区の梨畑の隣に住んでいる友人の話に依ると、同地区では、4月から10月まで、晴れた週末はいつも大量の農薬を撒いていた。数えると、27回にもなり、窓を開けることも出来なかった。家にはカビが生え、中に居られないほどであった。詳しく調べてみると、この友人だけでなく、梨農家の人達自身が第一の健康被害者でもあった。あまりにひどい話なので、梨畑の排水や使っている農薬をミカヅキモで調べてみると、かなり毒性の強い農薬を次々に散布している事が分かった。また、農薬の中では殺菌剤の毒性が特別強い事も分かったので、農協の理事や富山県の役人に防除暦の弊害を説明し、農協としては、もっと毒性の弱い農薬を、病気が発生した時にだけ最小限に使う様に指導して欲しいと依頼した。ところが、これまで最善の指導を農家に行って来たと思っていた農協の役員達はかなり気分を害した様で、私達の実験結果の揚げ足も取られた。しかし、その後、農薬の選定や散布法などに大きな改善が加えられ、梨畑の隣に住んでいる友人も自宅が住み易くなったと感謝して呉れた。また、人伝に聞いた所では、我々が会った時には怒っていた農協の人達も、後では私に感謝していたという話である。私は、農家の人の健康が一番危険にさらされていることを真っ先に説いたからであろう。
 また、シャンプーでミカヅキモテストをしてみると、メリットとフケ用のリジョイの毒性が大変強く、植物物語の1000倍も毒性の強いことが分かった。結局、総合すると植物物語や三千年の歴史があると言われる石鹸などが安全と言うことが分かって来た。
 ミカヅキモテストでは、排水にどの農薬が何ppmある、という様な細かい芸当は出来ないが、その代わり、未知の化学物質でも、複合汚染の場合でも、その水が人間を含む生物に対して安全か、それともどの程度危険かを教えてくれる。今後もミカヅキモから色々と学びたいと思っている。

2000.06

クョスコニョ    [1] 
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