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  洗剤の安全性と毒性(2)シャンプー
  洗剤の安全性と毒性(2)シャンプー
 
首相は派遣社員にさせては? 
 下世話な話で恐縮だが、インチキ賭博もどきの株屋の暗躍を見ても、構造改革は結局は弱きをくじき強きを助ける弱肉強食社会への誘導で、多くの国民の幸福には遠かったようだ。税収が50兆円弱の国家予算の中で30兆円も借金し、不必要なダム・道路・新幹線などに数百億円から数千億円単位で無駄遣いし、ゼネコンや銀行を儲けさせてきた。天下り先をあまた用意し、官僚の給料や退職金に6兆円も使う一方で福祉を削る。派遣社員やパート職員、フリーターも増えている。このように大多数の国民に背を向けた内閣を、過半数の国民が支持しているのは何とも不思議だ。民間で出来ることは民間に任せるとか、官業が民業を圧迫していると言うなら、首相も大臣も、国会議員も官僚も、総て競争入札を行い、派遣社員やフリーターに任せたらどうだろう。時給六百数十円の最低賃金、サービス残業付きで引き受けさせれば、弱者の痛みが少しは分かる政府が出来るだろう。

もったいない精神の大切さ
 ところで先頃、滋賀県知事に嘉田由紀子氏が当選した。私は彼女と一面識もない。そもそも滋賀県知事選があったことも、彼女がもったいない精神を政治や暮らしに生かそうとしていたことも、新幹線の南びわ湖駅や琵琶湖ダム建設の中止を主張していたことも知らなかった。財政面、環境面で無謀な計画が全国に溢れる中で、私と似た考えの人がよくまあ自公民相乗りの現職知事を破って当選したものだと驚く。彼女の主張の優れていたことは勿論だが、訴え方も良くて、滋賀県民も考え直して彼女を支持したのだと思う。

富山のダムと海
 富山県でも約70のダムがあり、道路や新幹線の建設が行われている。私がミカヅキモやコウガイチリモ、ツヅミモなどを採集しによく通った八尾の山奥、桐谷は、富山駅から南へ30キロ、車で1時間。古老の山口武雄氏(71)に依れば、現在は30戸60人と過疎だが、明治時代には120戸700人ほどいた。山菜や川魚(イワナ、ヤマメ、ニジマスなど)の宝庫で、農業、養蚕、炭焼きをし、薪(まき)・縄などを生産。ススキは、春は羽根草(はねそう)と呼び、壁土を盛ったり、炭俵を作るのに使われ、秋はカヤと呼び屋根を葺いた。その桐谷を03年に久しぶりに訪ねたら、京都で言えば八瀬を流れる高野川ぐらいの久婦須(くぶす)川をせき止め、堤高95メートル、堤頂幅253メートルの巨大な久婦須川ダムが出来ていて驚いた。洪水調節が主目的の多目的ダムで、富山県が439億円を投じて2002年に完成した。発電量は昨年度がわずか1500万kw、金額にして1億4千万円だが(日本海発電)、冬季にはダムの水が流雪溝に利用され、ダム周辺は県民の憩いの場として整備されている。久婦須川は神通川支流の井田川の、そのまた支流だが、本来流量はかなりあり、江戸時代の天保年間には山崩れの土砂が川をせき止め、盆地状の桐谷村全体が湖となった。大正三年にも大水で堤防が決壊し、被害は大きかった。その後、川底をさらい、堤防を補強し、昭和30年以降、洪水はなかった。しかし石油危機の後、上流で緑のダムと言われるブナの原生林を大規模に伐採して万波ダム(1987)が作られ、1993年頃には桐谷で小洪水があり、久婦須川ダムが出来たというわけである。
 しかし、439億円もかけて生態系を破壊させるダムを作る必要があったのだろうか?長い川では、ダム建設により下流でかえって洪水の危険が増すのではないだろうか?川の底ざらえや護岸工事、山崩れの危険個所の補強では駄目だったのか?また、上流での大規模な森林伐採はやめられなかったのだろうか?中生代・新生代に海だった桐谷はアンモナイトや植物の貴重な化石が多く出るが、折角の自然研究の宝庫をダムの底に沈め、代わりにダム湖の上に2億円をかけて木造2階建ての化石資料館(海韻館)を建てた。やり方が何かちぐはぐで本末転倒だ。化石資料館は富山の学校教育に使われ、一日数本のマイクロバスがJR八尾駅から来るが、何分にも付近は「熊出没注意」の立て札もあるとおり、元々奥深い山と川の過疎地で、途中の道幅も狭く、訪問者が少ない。昔は久婦須川はイワナやヤマメが有名で、釣り人が近隣の県からも来ていたが、ダム建設後は生態系が破壊されて生息数が激減し、村の魅力が乏しくなった。山の森林、川、そして海は生態的につながっている。山奥で森林を大規模に伐採し、川をせき止めダムを作れば、その影響は必ず海へと及ぶ。実際、富山湾では近年、海藻の磯焼けが進み、漁獲量が減っている。山の森林伐採やダム建設は、海を含めて総合的に再検討することが必要だと思われる。

シャンプーの毒性 
 再検討と言えば、前回書いたように洗剤もまたしかりである。近年は大抵の人がシャンプーで洗髪する。私が化粧石鹸で体も髪も洗い、洗濯石鹸で洗濯すると言うと人は驚く。昭和40年頃までは、洗剤と言えば化粧石鹸と洗濯石鹸しかなく、日本人は頭のてっぺんから足の爪先まで石鹸で洗った。しかし今では、洗髪、すすぎ、洗顔、手洗い、体洗い、食器、洗濯、便所、ガラス拭きなどと区別され、それぞれに数種類から数十種類の洗剤がある。シャンプーでは十指に余る会社から数十種もの商品が売り出されている。一体、それ程多くの用途別洗剤が必要なのだろうか。それに、どの洗剤が安全か危険かの判断は、テレビ宣伝の有無、容器の形、洗剤の色、価格などとは全く無関係だから難しい。
 そこで、前回も述べた方法でミカヅキモを使い、様々なシャンプーと石鹸の、増殖(無性生殖)と接合子形成(有性生殖)に対する毒性値を調べ、合計毒性値(TU)を出した。すると、毒性の弱いものから順に、ラックス、植物物語、オリーブ油シャンプー、ディセ、モイスチャーリッチリジョイ、ポプリン、マシェリ、ベーネ、バイダルサスーン、ラビナス、ココナッツシャンプー、ヘアークレンジング、モッズヘア、ナイーブ、シーブリーズ、水分パック、スーパーマイルド、エッセンシャル、ピュール(以上、TUは12〜100)、大豆油石鹸、ミネラルシャンプー、石鹸シャンプー、薬用毛髪力、アザレ、プレイン&リッチ、ダブ(TUは100〜200)、ソフトインワン、ジェンヌ(TUは330〜680)、フケ用リジョイ、メリット(TUは1700〜5900)となった。この中で、最初のラックスからダブまでは、ミカヅキモの基準で、毒性の低いA類であった。しかし、ソフトインワンとジェンヌはB類でやや毒性が高く、フケ用リジョイとメリットは、平均するとC類となって、桁違いに毒性が高かった。フケ止めに、農薬以上に毒性の高い殺菌剤入りのシャンプーをじかに頭に振りかけるのは、人体ばかりか環境への影響も懸念される。
 
ミカヅキモの増殖(○)と接合(●)に対するメリット(左図)とジェンヌ(右図)の影響
横軸はシャンプーの濃度で、単位はppm(百万分の1)。メリットの毒性が非常に高いことが分かる。また、ジェンヌでは増殖に比べ、接合に対する毒性が非常に高い。(X)は異常な形態の接合子の出現頻度。

 この他、B類のスーパーマイルドとジェンヌは年に依っては、増殖に対するよりも、接合子形成に対する方が20倍以上、プレイン&リッチとソフトインワンでは約10倍も毒性が高く、これらはミカヅキモにとっての一種の環境ホルモンだった。結局、総合すると石鹸や石鹸を主成分とするシャンプーが安心だ。
 我々を取り巻く社会はすさまじい勢いで前進しているように見える。しかし、たまには立ち止まり、もう一度、洗剤やダム、新幹線、そして時給六百数十円のパート労働者についても、再検討することが我々にとって有意義で、真の社会の進歩をもたらすのではないだろうか。

2006.08

クョスコニョ    [1] 
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