お茶の水女子大学・藤原正彦教授の「国家の品格」(新潮社)がベストセラーとなり、「品格」という言葉が2006年の新語・流行語大賞を受賞しました。その後、昭和女子大学・坂東眞理子学長の「女性の品格」や「親の品格」(両書ともPHP新書)など、「品格」ブームは続いているように思えます。国家の品格や女性の品格を読むと、「まったく当然、常識!」と思うことばかりです。ところが、この当然であることができていないから、こういった書籍が多くの人に読まれているのでしょう。
上述の書籍よりも一足早く2003年に出版された「気品の研究」(山ア武也著、PHP研究所)は愛読書のひとつです(品格を岩波書店の広辞苑で引くと気品や品位とあります)。
本書51ペーシは、「目下にも礼儀正しく」と題して次の文章が書かれています。
気品を保つための重要な条件の一つに、礼儀正しくというのがある。礼儀は人と人とが接するときの約束事ないしはルールであって、それをまもるのは相手に対して敬意を表している証拠だ。(略)相手が目下であるのが明らかであるときは、平気で礼を欠く言動をする人は少なくない。当人は自分が上であることをひけらかそうとするつもりかもしれないが、逆に自分の格を落としている。
仕事柄、多くの方々と接します。大学の先生や企業幹部の方など社会的地位が高いと云われている方々もおられます。その中には、高飛車な態度の方も時々はおられます。学生や部下に対して威張った態度の人。一時が万事そうかと思うと、自分より上の人に対してはコロッと態度が変わってしまいます(目上の人に対しても同じ態度なら、ある意味好感が持てますけど…)。こういう人とは二度と関わりたくないというのが正直な気持ちです。
幸いにして、ご縁をいただいたほとんどの方が、目下のものに対しても礼儀正しい紳士・淑女の方々です。幸せです。
さて、このような偉そうなことを書きましたが、では私自身はどうなのか?
自分では、礼を欠くことのないように努力しているつもりですが、気づかぬうちに失礼な言動をしているのではないか、と時々は振り返らなければならないと思いました。
健康をお届けするには、まずもって私自身が健康でなければなりません。それは、肉体の健康はもちろんですが、実は精神の健康が最も重要であると考えています。精神の健康ことが品格(気品)です。
最後に、ローマの哲学者・セネカの言葉をご紹介します。
人は気品ある生き方には関心がなく、どれだけ長く生きるかばかり気にしている。しかし、気品ある生き方は誰にでもできることだが、長生きは何人の力も及ばないことだ。
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