独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の今年度の「外国人研究者招へい事業」に採択されました。そして、6月初めより寧夏大学生命科学院の蘇建宇教授が客員研究員としてMAC総合研究所に来所され、念珠藻(髪菜)の人工栽培法の確立を目的として、研究スタッフを指導いただきながら研究を行っておられます。
念珠藻は、富山大学大学院(林利光教授)との10年間の共同研究にて「抗ウイルス作用」を明らかにし、これまでに「ノストフラン」を見出してきました。さらに研究が進み、念珠藻が「インフルエンザウイルスに対する粘膜免疫の分泌型IgA生産能を高める」ことを明らかにし、その生化は今年度の日本薬学会第129年会においてハイライトにも選出されました。新型インフルエンザに対する有効な予防手段として注目され、マスコミにも取り上げられました。
この念珠藻を安定供給するために、6年ほど前から蘇教授や天津科技大学の賈士儒教授と人工栽培法の確立を目指して共同研究を進めてきました。そして、基本的な培養条件を確立することができ、中国と日本で特許出願を終えています。
MAC総研では、この確立した培養法にて念珠藻の大量栽培を検討してきました。しかし、増殖率(増える度合い)が小さく、培養はできても大量栽培は難しい状況が続いていました。
今夏、蘇教授の直接の指導により、この増殖率の課題を解決することができました。念珠藻の細胞を単離するときに、ある秘密のテクニックが必要でした。このテクニックにより増殖率が従来の12倍となり、大量栽培を実施するレベルにまで達しました。
大量栽培実施のための次の課題として、高品質(抗ウイルス作用をしっかりと保持させること)の念珠藻を育てることと栽培コストの軽減があります。今後、高品質の念珠藻を安定的に安価で供給できるよう、各大学のご協力とご指導を仰ぎながら、宮古島での栽培実現に向け、MAC総研の総力を挙げて取り組んでゆきます。
秋に来ると想定される新型インフルエンザ第二波に備えるためにも、一日も早く念珠藻を大量栽培できるようにしたいと思っています。
本校をご高覧いただく頃には、蘇教授は寧夏大学にお帰りになっておられます。電子メールにて逐次指導をいただきながら念珠藻の大量栽培を実現し、社会に貢献できるように努力してまいります。
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