5月31日に東京大学で国際シンポジウム「微細藻類のバイオテクノロジー〜食糧・環境・エネルギー〜」が開催されました。収容人員300名の会場がほぼ満席になるほどの盛況なシンポジウムでした。私は午後の部で「食糧としての微細藻類〜生理機能を中心に〜」と題して、種々マイクロアルジェについてお話をさせていただきました。
午前の部は、東京大学名誉教授・宮地重遠先生の基調講演、ドイツとフランスから2名の先生の講演がありました。また、カルビン・ベンソン回路(光合成反応における代表的な炭酸固定反応)の発見で著名なベンソン先生のビデオメッセージも流されました。
宮地先生は、東京大学応用微生物研究所、海洋バイオテクノロジー研究所等においてマイクロアルジェ(微細藻類)研究およびマリンバイオテクノロジー研究の牽引者として永年貢献され、また、マリンバイオテクノロジー研究会および同学会の創始者でもあります。また、1994年に催した弊社設立記念講演会では「マイクロアルジェの特性と将来」と題してご講演をいただきました。マイクロアルジェへの夢と希望を強く与えていただき、「マイクロアルジェによる人と社会と地球の健康」の理念の下、この事業を強く推進してゆく決意を新たにしたことを今も鮮明に覚えています。
宮地先生はこの5月で80歳となられましたが、海外へのご出張を含め多忙な日々を元気に過ごしておられます。基調講演終了後に座長(司会)から「若い研究者たちにメッセージを」と求められ、先生は「interest」と答えられました。リーダーズ英和辞典(研究社)には、「関心、興味、好奇心、重要性」とあります。これらすべての意味を込めてお答になったものと思います。この言葉を聞いた時、研究に限ったことではなく私たちの日常生活においてもあてはまる言葉だと思い、紹介させていただきました。この言葉を忘れないで、いつまでも現役で元気に活躍したいものです。先月号で書きましたPPK(ピンピンコロリ)の実践です。
このPPK。ベンソン先生のビデオメッセージを見て、より強く思いました。ベンソン先生は92歳。さすがに来日は無理だからビデオメッセージとなりましたが、このビデオを撮りに行かれたのが80歳の宮地先生です。このことも驚きですが、ベンソン先生が92歳にしてカリフォルニア大学スクリプト研究所の現役教授であることは衝撃に近い驚きでした。「終身現役」とは社会教育家・田中真澄先生のメッセージですが、シンポジウムで宮地先生とベンソン先生の姿を拝見し、終身現役の素晴らしさを強く実感しました。
|