私たちが病気にならないように守ってくれているのが免疫です。その免疫の70%前後が腸管免疫と呼ばれるものです。経口的に体に入ってくるものはとても多く、その中で安全で重要なものとして食品があります。一方、危険なものとしては病原細菌やウイルスなどがあります。安全なものは吸収し、危険なものは吸収しないようにするのが、腸管免疫の代表的な働きです。病原細菌も食品と同様、タンパク質や脂質、炭水化物からできていますので、安全なものなのか危険なものなのかを判定する腸管免疫の不思議な力に驚きます。食品も私たちにとっては「異物」ですから、本来なら吸収しないように免疫が働くはずです。しかし、食品に対しては免疫機能を働かせないのです。専門的には「免疫寛容」と言いますが、そのメカニズムはまだ解明されていないそうです。いずれにしても、腸は腸管免疫を介して私たちの健康を守ってくれています。
このとても重要な働きをしてくれる腸管免疫をしっかりと働かせて、インフルエンザをはじめとした種々ウイルスや薬剤耐性病原菌などから身を守っていただきたいと思っています。そのためには、まずもって暴飲暴食などをしないで腸を大切にしていただきたいと思います。さらには、腸管免疫を活性化する念珠藻などのマイクロアルジェをご活用いただければ幸いです。
ところで、腸は腸管免疫を介して健康に関係しているだけではなく、「こころ」にも関係しているそうです。
三木成夫先生(元東京芸術大学教授)の「内臓のはたらきと子どものこころ」(築地書館)を読みました。形態学的・解剖学的に、「顔」というのは内臓(腸)が露出した部分だそうです。第二章「内臓とこころ」には、
すべての生物は太陽系の諸周期と歩調を合わせて「食と性」の位相を交代させる。動物では、この主役を演ずる内臓諸器官の中に、宇宙リズムと呼応して波を打つ植物の機能が宿されている。原初の生命球が「生きた衛星」といわれ、内臓が体内に封入された「小宇宙」と呼びならわされるゆえんである。(67ペーシ)
と書かれています。そして、
あくまでも厳密な意味での生理学−というより、もっと根底の生物学の窓からこれを見直そうとしているわけです。(略)つまり、「からだに内蔵された食と性の宇宙リズム」を心の本態と申しますか、その根源の機能と考えているようなわけです。(101ペーシ)
と、「こころ」が内臓の感覚と密接に結びついており、この内臓の機能を大切にすることが心の形成に重要であると書かれています。哲学的な感がありますが、三木先生は東京大学医学部を卒業された医学博士です。
最近では、「脳」が注目されていますが、三木先生は、「脳は考えるもの、心は感じるもの」とし、「言葉や思考以前の心のあり方が大切」であると説いています。
本書を読んで、腸が顔の表情に影響し、また心の形成に深くかかわっていることが分かりました。
腸管免疫だけではなく、心にも関係の深い「腸」を大切にしなければなりませんね。
|