3月26日から28日まで、京都で日本薬学会第129年会が開催されます。私たちは、この第129年会で「鳥インフルエンザウイルスの経口接種時の腸管免疫機能に及ぼす髪菜熱水エキスの効果」という演題で研究発表します。日本薬学会では、「学術的に優れ、なおかつ一般市民にも興味を惹くようなテーマを取り扱っている」研究発表を年会ハイライトとして選出します。第129年会では、発表予定4016演題から195演題が候補としてノミネートされ、最終的に約70演題がハイライトに選出されるそうです。昨年12月、ハイライト候補の一つに私たちの発表する上記演題がノミネートされました(本稿を書いている2月10日現在、まだ最終選考結果は出ていません)。
髪菜(念珠藻)の抗ウイルス作用の研究は、2002年に開催された第122年会でもハイライト候補にノミネートされましたが最終選考で落選したので、今回は是非選出されたいと思っています(本稿が印刷されるときには決定していると思います)。
さて、この髪菜の抗ウイルス作用に関する研究は、富山大学大学院の林利光教授のご指導の下で進めているものです。林教授には1999年にご縁をいただき、今年で10年となります。翌2000年には中国・青海省西寧(せいかいしょうせいねい)での髪菜調査に、林教授の研究室の学生さんが参加しました。この学生さんは、その後大学院に進学し、「ウイルス感染症に有用な新規生物活性分子の検索」と題した髪菜の研究で薬学博士号を取得しました。髪菜の研究で薬学博士が誕生したことは、髪菜に携わる私たちにとって大きな勇気となりました。
ところで、この髪菜を高品質で安定供給するために、5年前から天津科技大学や寧夏大学と共同で「髪菜の人工栽培法」の確立を目指してきました。基本的な栽培方法は確立でき、特許も出願しています。そして、昨年からは内モンゴル自治区で実際に人工栽培を行っています。今年5月には、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業により、寧夏大学の蘇教授が3ヶ月の予定で弊社MAC総合研究所にて髪菜の人工栽培事業化の検討を行います。近い将来、高品質な髪菜を安定供給できると確信しています。
「21世紀はウイルスや病原菌による感染症の脅威に曝される」といわれています。今後も林教授のご指導の下、髪菜の抗ウイルス作用に関する研究を進め、社会に貢献してゆきたいと考えています。
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