膝の痛みを伴う「変形性膝関節症」は、その痛みが日常生活に大きく影響し、外出を避けることによるうつ病や認知症などの間接原因となっています。その患者数は、2005年に1200万人といわれていましたが、2007年には日本リウマチ学会において2400万人と発表されました。
ところで、弊社MAC総合研究所は、2000年からの3年間、農林水産省受託研究で山形大学と共同で紫外線防御物質の研究を実施しました。その時に行った文献調査によって、陸生藍藻のイシクラゲに含まれる紫外線防御物質に、グルコサミンが結合していることがわかりました。また、イシクラゲには特有の物質「ノスツロン酸」を含有していることもわかりました。ノスツロン酸は、体内でヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸に変換されると考えられています。さらに、イシクラゲには抗炎症作用のあるn-3系高度不飽和脂肪酸も多く含まれています。したがって、変形性膝関節症に対してこれらの成分による相乗効果が十分に期待されました。
そこで、2005年当時日本人の10人に一人が患っている変形性膝関節症に対して、少しでもお役に立てられるのではないかと、MAC総研の山口主任研究員が開発責任者となって、イシクラゲの上述の特徴を活かした「葛仙舞グルコサミン1000」を開発しました。おかげさまで、2005年12月の発売以来、多くの方にご愛飲いただき、また喜んでいただいております。
ところで、先々月(6月)下旬に、イシクラゲについての最新の文献調査をしたところ、今年になってアメリカ・ネブラスカ大学の研究グループが興味深い研究成果を発表していました(アメリカ栄養学術雑誌Nutrition Researchの2008年28巻)。
余談ですが、電子メールは便利です。早速、研究者にメールでこの論文を依頼し、その後もこの研究成果についての質問など数回にわたってメールのやり取りをしました。昔はすべて郵便(エアメール)だったので時間がかかりました。メールは本当にありがたいです。
さて、この論文の研究内容ですが、イシクラゲの抗炎症作用を検討したものでした。イシクラゲの脂溶性抽出物(油に溶けやすい成分を取り出したもの)に抗炎症作用が認められました。この抽出物中には上述のn-3系高度不飽和脂肪酸も含まれています。そこで、抽出物に含まれるこの脂肪酸だけで調べたところやはり抗炎症作用はありましたが、イシクラゲ抽出物の抗炎症作用を説明できるだけの作用(活性)はありませんでした。つまり、イシクラゲには、n-3系高度不飽和脂肪酸の他に、抗炎症作用をもつ別の成分が含まれているという事です。さらに、その作用機作を調べたところ、炎症誘発遺伝子の発現を抑えることが解りました。n-3系高度不飽和脂肪酸は炎症惹起物質ができるのを抑えるので、まったく違った作用機作であることもわかりました。ネブラスカ大学の研究グループでは、今後この抗炎症作用成分を特定してゆくつもりだとのことでした。
難しいことはさておいて、新しく解明されたイシクラゲのこの抗炎症作用が、葛仙舞グルコサミン1000の優秀性をさらに証明するものとなり、強く自信を持ちました。それと同時に、マイクロアルジェの生理作用はまだまだ未解明の部分がたくさんあるのだということを改めて認識しました。
無限の可能性を秘めたマイクロアルジェは21世紀の宝だと思っています。
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